063 巷百物語 怪之六十

あめ屋と子泣きじじい  むかしむかし、旅のあめ屋が山をこえる途中、道にまよってしまいました。 日はくれてくるし、家はないし、あめ屋はとても心細くなりました。「なにか、おそろしいものが出ないといいが・・・。でも、こういうときほど、なにかが出るんだよな」 あめ屋がこわごわ歩いていくと、どこからともなく子どもの泣き声が聞…

続きを読むread more

062 巷百物語 怪之五十九

もちの好きな山姥(やまんば)  むかしむかし、あるところに、小さな村がありました。 山あいの村なので、お米がろくにとれません。 それでも村の人たちは、お正月が近くなるとそのお米でもちをついて、神さまにそなえたり、自分たちで大事に食べたりしていました。 ところがこの村の山には、もちの大好きな山姥(やまんば)がいて、も…

続きを読むread more

061 巷百物語 怪之五十ハ

しっぺ太郎  むかしむかし、ひとりの旅のお坊さんが、ある村をとおりかかりました。 みれば、田うえどきだというのに、だれひとり、田ではたらいているものがおりません。 ふしぎにおもっていると、その村の庄屋(しょうや)さんの家の前に、おおぜいの村人たちが集まって、なにやらヒソヒソはなしあっています。「はて、なんじゃろ?」…

続きを読むread more