奇々怪々!妖気譚···九話

  空家のゆうれい  むかしむかし、ある町はずれに、古い空家がありました。 いく年か前までは、お金持ちがすんでいましたが、今はあれほうだいです。 やねのかわらはずりおち、のきにはクモの巣(す)がはりめぐらされ、みるかげもありません。 ところが、この空家から夜になると、ゆうれいが出るとのうわさがひろがりました…

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083 宇治拾遺物語(巻4、065)

083 宇治拾遺物語 巻四 (65) 智海法印、癩人法談の事    これも今は昔、 智海法印が、まだ有職の地位にあった頃。  法印が清水寺へ百日参詣し、夜更けになって寺から戻る時、 橋の上に、「唯円教意 逆即是順 自余三教 逆順定故……」 と、経文を唱える声を聞いた。  尊いことだ、いかなる人が…

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