奇々怪々!妖気譚···十六話

旅は道連れ  むかしむかし、一人の武士が、京へ向って旅をしていました。 ちょうど鈴鹿山をこえようとした時、急に耳もとで、何か人の話し声がしました。(はて、きみょうな)と、あたりを見まわしましたが、誰もいません。「風の音かな?」と、歩き始めると、また耳元で話し声がします。 何を言っているのかわかりませんが…

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087 宇治拾遺物語(巻4、069)

087 宇治拾遺物語 巻四 (69) 慈恵僧正戒壇築かれたる事   これも今は昔、 慈恵僧正は近江の国・浅井郡の人であった。  さて、比叡山に戒壇を築く許しが下りたものの、 人足を揃えることが出来ず、未だ、戒壇を築くことができなかった折のこと。  浅井郡の郡司と、慈恵僧正とは、師匠・檀家の間柄で親しくして…

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