"巷百物語···全99-"の記事一覧

099 巷百物語 怪之九十六

百物語  むかしむかし、江戸の浅草花川戸(あさくさはなかわど)に、道安(どうあん)という医者が住んでいました。 ある日のこと。《伝法院(でんぽういん)の広間(ひろま)で、百物語(ひゃくものがたり)をもよおすので、ぜひご出席いただきたい》と、いう、つかいがきました。 伝法院(でんぽういん)といえば、浅草境内(…

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098 巷百物語 怪之九十五

  あの世への迎え  むかしむかし、会津(あいづ→福島県)の殿さまのもとに、直江山城守兼続(なおえやましろのかみかねつぐ)という家老(かろう)がいました。 ある時、三室寺庄蔵(さんむろじしょうぞう)という山城守(やましろのかみ)の家臣(かしん)が、ささいなことから家来の一人を殺してしまいました。 そ…

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097 巷百物語 怪之九十四

卵のような顔  むかしむかし、ある村はずれに景色のいい浜辺がありました。「おおっ、なんてすばらしいながめだ」 たまたまそこを通りかかった男が、ふと前を見ると、若い女がひとりで、松の木によりかかって海を見ていました。 顔はよくわかりませんが、そのうしろ姿は美くしく、男はひとこと声をかけたくなりました。(なんていお…

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